2012年09月25日

9.24(月)曇り:江藤淳『妻と私』

なぜか、913(小説)のコーナーに紛れ込んでいた916のこの本、
江藤淳著『妻と私』
41年連れ添った妻が末期がんと分かって、彼女には告知せず、死の重みを一身に担って、自らの健康をもかえりみず、寄り添い、看取った手記です。妻と共に生きた時間を振り返り、まだ共に生きているけれども、その最後の日々は生きている時間と言うより死を共にする時間のように感じて、著者も死に取り込まれそうになっていく様子が告白されています。
ここから先は小説『空也上人がいた』の内容をばらしてしまうので、読みたくない方は飛ばしてくださいm(_ _)m

昨日読んだ、山田太一著『空也上人がいた』と通じる何かを感じました。
『妻と私』では、もちろん筆者である江藤淳は死なずに、脳腫瘍(ガン)を患った妻を看取って葬式をやり遂げて終わっています。
ところが、江藤自身はいくつかのライフワークを書きかけのまま、妻を送って一年を待たずに、浴槽で手首を切って亡くなりました。享年66歳。
一方、山田太一『空也上人がいた』でも、すでに妻に先立たれている81歳の独居老人が自死します。妻と仲が良くはなかったにもかかわらず、妻を亡くしたときは「一度に7〜8人亡くしたようだった」と、今は81歳の彼が言うシーンがあって、忘れられません。

写真は、安曇野ランド辺りの川です。


Posted by モリアオ41 at 00:16│Comments(0)
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